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高らかに鳴り響く伊福部マーチ。 [アニメ]

 ダブルオーの劇場版をDVDで拝見しまして。

 うむ、重ね重ねもったいない。これに.......「ガンダム」、の冠が
ついてしまっていることが。

 普通にオリジナル企画だったら、色々変ないいがかりつけられずに
みんなが楽しめたのではないかと少々残念に思っております。よい
出来なのですし。

 まあそれはともかくとして。

 宇宙での大迎撃戦シーンを観ている最中、なぜかわたくしの脳裏に
ですね、勝手にBGMが高らかに鳴ってしまうのはどうしたことでしょう。

 あれです、あれなんですよ。

 東宝特撮大スペクタクル巨編の、あれ。

 そう、「地球防衛軍」のマーチ!

 ミステリアンドームとの最終決戦でかかっている、あれなんです。

 地球人類が総力を挙げて、自らの生存をかけた大決戦に挑む、という
決死の思いと力強い反撃のシーンには、やはり勇壮なマーチがぴったり
だと瞬時に思ったからなのでしょうか。

 忍び寄る宇宙からの謎の侵略者。続発する怪事件。そして怪生物出現!
対策本部が設置され、政治家と軍人が苦悩し、ついに現れた脅威の本体
に対抗すべく、人類は一大決戦に挑む!避難する市民、見送る人々、
その期待と不安を一身に背負って、進撃してゆく我らが地球防衛軍!
超科学の結晶、新兵器登場!果たして倒れるのは、人類か?それとも
宇宙人か?宇宙を揺るがす驚天動地の大スペクタクル巨編!

 と、このやうに箇条書きにしてみると、ダブルオー劇場版はわたくし
のような年寄りが年少の頃に親しんだ「東宝特撮映画」や、アメリカの
怪生物・宇宙人パニック映画のフォーマットに沿っていて、そんなには
違和感を感じずにすんなりと楽しめたのであります。

 いわんや、心の中のどこかが伊福部マーチを求めてしまうのは、もう
必然とでも申しましょうか。今度実際に流しながら見てみようかと。

 ラストの花のオブジェは、TVシリーズをちゃんと見ていればそんなに
唐突には感じませんでした。思考体系の違う生物との遭遇、というのは
SFの世界では古くからあるテーマなのですが、歩み寄ろうとした段階に
どちらの思考へ一旦寄せて試行錯誤を始めるのか、というのは、とても
思考のシミュレーションとして面白いお題です。

 さてさて、またまたありもしない事を想像してみましょうか。実際の
設定と合っているかどうかはともかくとして、やってみましょう。

 最初、木製軌道上で探査船の乗組員を初めて取り込んだELSは、金属
ベースの集合意識生命であるがため、最初のコミュニケーションに物理
的に失敗してしまっています。意思を交わす前に、方法を間違え相手を
即死させてしまったことにより、体の組成と仕組みは理解できましたが、
どう意思を伝えてよいのか、ここではわかっていません。

 次に彼ら.......というか、個体の切り分けという概念すらわたくしたち
と同じようにあるのかどうかすら判りませんが、ELSの皆様ははじめて
遭遇したタイプの炭素系酸素呼吸生命体を調査することにします。今度
は地球人の体に似せた姿を作り、なんとか意思交換の第一段階をクリア
しようと試行錯誤するわけですね。その姿で、探査船の機械側が記録し
ていた母星へととりあえず向かってみることに。幸い、そこは銀河の果て
ではなく、この恒星系のほんの内側の距離にありました。自分達だけで
直接飛んでゆくより、この生物が乗っていた乗り物を使ってゆけばより
話は早く済むのではないか、と判断したのかもしれません。

 探査船が地球からの別の乗り物に遭遇した時、いきなり攻撃されたの
には彼らもびっくりしたでしょう。まあ地球側からすれば、誰何応答を
繰り返しても何も反応がない、数世代前のばかでかい木星探査船が突然
事故なのか偶然なのかわからない状況で地球目がけて突き進んで来るの
ですから、物理的な障害物、天災として排除をするのは当然なのですが。
乗っているELSさんたちはたまったものではありません。金属の身の上
なので相手には物理的構造物と区別がつきませんし、コミュニケーション
方法も知らないのでやめてくれと頼むこともできません。降りかかる
火の粉は自らの力で振り払わなくてはならず、ここに第一次遭遇戦と
相成ってしまうわけです。

 さて、破片のような態でとりあえず何を逃れ、地球を目指したELSの
先遣隊のひとたちはさらに慎重になります。うーんどうしたもんだろう、
言葉わっかんねえしなぁ何食ってるかもわかんねーしなぁ、ていうか
ここどこなの?超なんもないとこなんすけど?とか考えてたかどうかは
わかりませんが、なんかここの生命体が移動に楽そうな乗り物でやって
来たのでとりあえず拝借、その場での争いは避けて群体がいる場所へと
各個体で三々五々観察に向かうことにしました。どのように暮らして、
意思を伝えているのかを確かめるためです。

 しかし、この惑星の大気を震えさせて、振動の高低で意思を伝える
最も一般的な手段を使うには、相手の言語、習慣風俗を知らなくては
単なる音になってしまいます。進退窮まったELSさんは、ある段階で
全ての人類ではないが、その中の三割くらいの個体から放射される、
自分達にもコミュニケーション手段としてある程度使える「脳量子波」
と彼らが呼んでいるものを感知します。

 ほら、外国とか行って困ることってよくありますよね。例えばまあ、
おトイレに行きたいっていうのにトイレってなんて言っていいかすら
わからない上に、どこ、そこ、っていうのすらわかんなくて必死で
相手に伝わりそうな手段を試行錯誤して筆談したり絵を描いてみたり、
身振り手振りしたりすることが。もう切羽詰って伝えられる手段が
あるなら何でもやってみよう、みたいな感じの。あとなんか話通じ
そうな敵意のなさそうな人とか同じ人種っぽい人がその場にいないか
必死で探したりしません?

 そんな感じでなんとか話聞いてくれんじゃね?という相手を探し、
ELSさんたちは次々とアメリカンネイティブなら友好のパイプを
回し飲みするような親愛の行為を、脳量子波を放出している人々に
行おうとします。ELSさんたちにとっては接触融合が意思疎通に
必要な最初のステップですし、前回の木星軌道上での失敗経験から
体の構造は同じではないことが解っているので、今度からは相手が
どこまで融合に耐えられるか、慎重に試しながら経験を重ねてみる
つもりでした。

 しかし、生命体としての生死の形も違っている、というところ
まで理解するのは、相手とのコミュニケーションが断絶したままの
状態では不可能でした。この、「とりあえず話しかけてみよう」
作戦も一連の怪生物による敵対的襲撃事件として終わってしまい、
ELSさんたちはいよいよもって人類に敵として攻撃される対象と
なってゆきます。さあこれでさらに進退は窮まりました。木星の
近辺には分遣隊も呼んでしまっていますし、相手はそこを目がけて
どうやら総力を持って攻撃してくるようです。生き残るためには、
反撃するしかなくなってしまいました。

 その一大決戦の最中、ソレスタルビーイングのゆかいな仲間たち
と地球連邦軍のみなさんに後押しされたせっちゃんが脳量子波全開
状態で意識集合体の間近まで突入して来ます。

 ELSさんたちはもう藁にもすがる気持ちだったでしょう。ああ、
やっとぎゃー!とかひぃーっ!?とかうわキモいこっち来んなとか
じゃなくて、「誰なんだお前は?まあとりあえず話があるから」
って、とりあえず伝わる通信手段を使って言ってくれる人が現れた
んですから。彼らは必死に、イメージの交換をはじめます。

 ええとそれ、その、なんですかねぇ、あなたの方ではなんていう
んですか?その、殺し合いっていうのか戦わないっていうのを、
そうだなぁうまいこと説明しようにも言葉がなぁわかんねえもんなぁ
ほら、平和とかそーゆうの、ハト?ハトってなんすか?なんかこう
三次元的に動くそちらの星の生物とか知らないんすよマジで、とか、
描写はされませんでしたがELSさん側からも代表的なイメージの
数々がせっちゃんに投げかけられて、すさまじい速度で模索されたに
違いありません。

 その渦中で、必死に殺し合いをやめたいと願うせっちゃんの送る
自分の記憶のイメージの中から、ある象徴的なものが形になります。

 そう、ダブルオーのTVシリーズを通して見ていたならおわかりに
なりましょう。

 「花」、です。

 アザディスタンの荒野で少年兵として荒んだ暮らしを送っていた
頃から、せっちゃんにとっては戦いと離れて存在するもの、の象徴
として花が意識の中にあったのです。それは、物語全体の中でも、
幾度となく暗喩表現として表わされていました。平和を表現する
ものとしての花のイメージは、ここでまさに開花するのです。

 ELSさんたちは考えました。せっちゃんの表現したこの形は、
まあ正体はわからないけど敵意のないことを示すためのひとつの
言葉になりうる、と。彼が望む、争いを駆逐する象徴となれる、と。
そして集合体の全てを以ってして、花のような形へと変形して見せ、
戦闘行為を終わらせました。

 おそらくその際に、ダブルオークワンタと共に量子化していた
せっちゃんは、物理的融合では死に至ってしまうELSさん達との
意思交換の第一歩を乗り越えて、存在が融合したのでしょう。
せっちゃんは俺がガンダムになったどころか、俺がELSでガンダム
だになってしまったのです。つまり通訳者となったわけですね。
そこからはいささか尺不足で唐突に見える未来の描写に進むのは、
容易に想像できます。人間の生命活動の尺度では数十年は長くて
も、ELSのような金属集合体生命にとってはたいした期間では
ありません。宇宙のあちらに、地球のこちらに、と八面六臂の
活躍で通訳をこなして、ようやく戻ることができたのが、あの
マリナ様の晩年にあたる頃だったのでしょう。もしかすると、
意識集合体的な概念では、わたしたち人類の方では個体それぞれ
の意識が独立していることがあたりまえであるという事が理解し
にくく、説明をするのに手間取っていて仕事がひと段落するまで
なかなか帰れなかったという側面もあったのかもしれません。
まったく、ELSさんたちも野暮なんですから、もう。

 ともあれ、せっちゃんは恋こがれるお姫様の許へとようやく
戻ってゆきました。その後はどうなるのか、それこそは神のみぞ
知るセカイです。でも、これだけは言えます。

 それからお姫様と少年は、幸せにくらしました、とさ。

 おとぎ話のエンディングは、こうじゃなくっちゃいけません。

 まあそんなこんなで、あの劇場版をELS側の事情を汲み取り
ながら多少ありもしない推察をしてみたのですが、いかがで
しょうか皆様。あなたのハートには、何が残ゲフンゲフン*ああ
一本前の記事に戻りそうだったいけねえいけねえ。こんな風に
捉えてみたらあの内容でも、特に唐突でも不自然には見えない
ような気もするのですが。なにかあるとしたら尺不足。だって
外宇宙との来るべき初接触を見据えて、シュヘンベルグ教授
のプランは存在していた、ってTVシリーズでも言われていた
わけですし、宇宙との未知との遭遇で最後を飾るのはしごく
当然な流れな気がするのですよ、わたくしとしては。

 さてさて、こむつかしい話の後には一服の清涼剤をどうぞ。
そう、スカッ!とさわやか!のあのヤロウのこと。

 パトリック・コーラサワーだぜいやっほう!!

 てめえこのニクいよちょんちょん、このぉちょんちょん、
いい男じゃねえかこんにゃろう!ラブラブシーン寸止めとか
かっこいい散り際っぽいけどそんなことはなかったぜ!とか
相変わらずだな大将このぉちょんちょん!nudge, nudge !!

 ほんっとに愛すべきバカヤロウだぜ、パトリック!

 アナザーミッションCDドラマでその愉快な家庭生活などが
描かれることはないのだろうか、と大変気になります。



劇場版 機動戦士ガンダムOO ―A wakening of the Trailblazer― [DVD]

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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
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