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それはあまりに久々に;最近気になっているアニメ [アニメ]

 まだまだいろいろたいへん。

 まあそれは置いておくとして。

 いきなり本題です。ガールズ&パンツァーがことのほか面白くてたまりません。下品な
性的表現を排している点、ミリタリー要素が入るとありがちになる人殺し要素なんてもの
を、「戦車道」という大ボラを吹いてスポーツに徹する、と排しているところなんかが
好感が持てるということと、アザゼルさんやじょしらくなどで隙間なくびっちりと構成
要素を整えつつ並べつつ、作品にすさまじい構成手腕を発揮することで個人的にも大好き
な水島(大魔法峠)努さんが監督なさっているということで見始めました。

 ミリタリーネタは元々ミリタリーファンが悪い方向にうるさいのでここのところだいぶ
敬遠しがちでしたが、そういう部分を忘れて、動画作品として色々唸らされたり、素直に
楽しませていただいております。小ネタもばっちり。

 さて、この物語はフィクションです、とは切り口上でよく申しますが、フィクションと
いうものはなにもないところから何かを書き込んでさもあるように見せるもの。つまりは
書き込まれたものには本来、すべからく何らかの意図と意味があるものでございます。
上手なストーリーテラーは必要な物を余さず使い、余計なものばかり書き込む輩は下手を
打つ、というのが鉄の掟。伏線や予兆というものは、そんな必要なかけらを物語という
畑に埋めて、後に花開かせる種のようなものでございますよね。

 おあとがよろしいようで。

 おっとまて。

 そうではないのです。覚え書きをしておいて、後で自分の予想がどうだったかを確認
してみたかったので久々に筆を執ったんでしたっけ。

 つまりは6話までみたガールズ&パンツァーの、気になったところでございます。

 きっかけは、追っかけっこに大立ち回り、頭脳戦を展開する我らがにしずみどの率いる
大洗部隊とサンダース部隊の実況中継を見て、陸自から来ている戦車教官が10式戦車の
上で大股開きであぐらをかいて、大笑いしながら「面白い!こんなの見たことない!」と
言ったシーンでした。

 「こんなの」、とは一体どういうことでしょう?

 決して、バカにして言ってるわけではないように思えるのです。

 ここで、いくつかの記憶の付箋がひもとかれました。大洗女子がなぜ、戦車道を捨て、
その戦車たちがまさに憎々しいものはもう見たくもない、とばかりに、極端な場所へと
ばらばらに「捨てて」あったのか。黒峰森の陰険な副将が蔑むような調子で吐き捨てた、
「戦車道を汚すような弱小は自分から辞退するべきだ。皆そうしている」のような発言。
サンダース付属のケイ主将が、1回戦終盤に圧倒的戦力を捨ててまでフェアプレイに
こだわり、負けてもなお「楽しかった!」、さらには「これは戦争じゃなくて戦車道
だから」、と晴れ晴れしい笑顔で言っていたこと。大洗女子に迫る廃校の危機。そして、
6話のラストは全車両を重戦車で固めて圧倒的戦力で他校を圧倒する、上位常勝常連の
2校に立ち向かって、無惨なやられ方を晒す軽戦車とチハ車の姿。何かがおかしい。

 そこで思ったのです。コメディカットで一見不必要にも見えるけれども、戦車道の
指導に来るくらいの人が、「こんなの見たことない」と面白がっていることと、ラスト
の惨状の2シーンは、この6話の中で対をなす場面なのではないか、と。

 戦車道そのものがスポーツとして袋小路に入っていて、存亡の危機にあるのでは?

 正確に表現すると、「大会を頂点とした戦車道組織とそのコミュニティの危機」、
とでもいうものでしょうか。

 勝てば官軍、どんな手段でも勝ちは勝ち、とにかく優勝すればいいんだ、という
空気で金のあるチームや姑息な手段上等なチームだけが常に上位、という環境では、
そのスポーツはどうなるか?

 まず見てておもしろくなくなりますよね。人気があるものでも、世代交代ができず
に長期的には観客がいなくなります。

 次に、そのスポーツをやりたい、と思う人がいなくなります。

 これは身近に「高校野球」という悪い例を見て育ったので、すごく実感できるの
です。わたくしは東京出身で、しかも23区はしっこの有力校もない地域に育って、
高校野球大会がどれだけ野球から人を遠ざけているのかを見て来ました。遊びの
種類の変化や空き地の有無などで子供からも引き離されているのも事実ですが、
これだけ高校があるのに主要大会に出るのは特定の高校野球に特化した学校で、
他の学校はやる気もなくなって野球部すら縮小して行ってしまう状態にあって、
他の地方で言う「我が県の代表」、が実感できない土地柄で育ってみると、なぜ
野球が以前のように楽しまれていないかがよくわかります。

 「ベストを尽くしてみんなで楽しむ」、というアマチュアスポーツの大原則が、
失われてしまえば、誰もやりたがらなくなるものになってしまうのですね。

 そのスポーツが好きだからやる。楽しいからやる。これが優勝至上主義の下で
は蔑まれ、排されてしまう。トーナメントは勝者だけのもの、と言われるならば、
ああそうですかお前らだけでやってなさいよ、と人も離れてゆくものでしょう。
野球やるにはええとこのリトルリーグ入ってレギュラーになって野球部のある
中学に行って高校野球大会全国常連の高校に入ってレギュラーになってプロに
なって、と目指さなくちゃやる資格なんてない、遊びじゃないんだ!根性だ!
真面目にやれ!などと言われる空気が、野球を気軽にできない雰囲気を作って
ませんか?数限りなく少なくなって来ている野球のできる場所が、そういう人達
に優先的に押さえられていて、遊びでちょこっとやる感じじゃない、とか。

 そりゃあ勝敗があるスポーツでしたら、勝負事ですから勝ちを目指したいのは
当然ですけれども、常に勝ってなきゃ意味がないなんてこと、ないですよね?
勝っている人だけしか参加できないなんてべらぼうな言い分、認められます?
だって負ける相手がいるから、勝てるのでしょう?

 アマチュアスポーツは、本来なら趣味の世界です。学生なら学生、社会人なら
仕事という本分があって、その片手間でやるものです。それに真剣に打ち込んで
いる人に失礼だろう!と怒られる方もいらっしゃいましょうが、遊んでばかり
で暮らしをフイにする人を、道楽者といいます。本当に真剣に打ち込んでいる
人は、本業の方も真剣に打ち込んで両立されています。だからこそ、そればかり
やっている人には及ばないのは当然です。主客が転倒しているのですから。
じゃあ勝てないからやらないのか?というと、アマチュアスポーツを含む趣味
の世界は、みんな楽しんで好きでやってるわけですよね。それを悪し様に言い、
無価値だなんてそしれないはずです。

 でも、今の全国大会至上主義に染まった「戦車道」は、はっきりとそう言って
しまう人が出て来てしまっているのですよね?骨董品のような軽戦車だらけの
弱小チームなんて見苦しい、勝つ気もない奴は自主的に辞退するものだ、と
まで言い放つ常勝校の副将がいるくらいです。戦車道協会の全体の雰囲気も
推して知れるような気がします。ひょっとして、多くの弱小と言われる学校は、
辞退しているのではないかも知れません。「戦車道はやりたいけど、絶対勝利
至上主義の公式トーナメント大会には空気が悪いから近寄りたくない」のでは
ないでしょうか?

 もしや、大洗女子の先輩方が戦車道をやめたのも、それが原因では?

 好きだったのに、楽しくなくなったからこそ、もう戦車なんて見たくない。
チームごとに一緒に過ごした戦車を思い思いの場所に捨てて、決別したのでは?
そう考えると、大洗女子が以前戦車道で使っていた車両が、あらぬ場所に点々
と捨てられ、存在すら忘れ去られていた理由がしっくりと来ます。忘れられて
いたのではなく、「忘れたかったもの」だったから、かもしれません。

 あの世界では、これまでは色々優遇されたり、生徒も集まりやすいという
理由で戦車道を取り入れる学校も多かったのかもしれません。ただ単純に、
世界的スポーツでもあるし、なにより楽しいから、さかんに取り入れられた
というのもあったでしょう。しかし、大会至上主義が主流になったせいで、
戦車道そのものが学生から敬遠されはじめ、戦車道コミュニティそのものに
暗雲がたれ込めているのだとしたら?

 中には、それでもアマチュアスポーツは参加することに意義があり、と
ばかりに、かたくなに自分たちの大好きなチハたんオンリーで出場する
学校なども残っているのでしょう。でも、勝つために圧倒的性能の戦車ばかり
揃えて特待生ばかり集める学校には、1回戦敗退。よほどの好き者でもない
と、ネガティブな思考になって挑む気にもなりません。

 そういう風潮に一矢報いる存在が今の大洗女子戦車隊なのだとしたら.......。
まるで戦争をやるみたいに息苦しい一方的な試合を今まで見せられて来て、
「なんか戦車道を楽しく思わせてくれる」大洗女子の戦いぶりに、観客は
おろか対戦相手までもが魅了されるのは、当然のなりゆきでしょうか。

 教官の言った、見た事もない「こんなの」。もしかしたら、西住流の名
に縛られ、常勝チームを率いているお姉さんは、内心では本当は楽しんで
戦車道に挑む今のみほさんが羨ましいのかも知れません。華さんの家の事情
のような「新しいかたちへの変革」ではなく、みほ隊長がやっている戦車道
は、西住流の「奥義真髄への復古」へと繋がる道なのかも、とまで想像して
しまいます。好きな戦車に乗ったらいい。手持ちのものを最大限に生かす。
知恵をめぐらせ頭を使え。そして、楽しめ、と。

 最終決戦には奥義に目覚め、カラフルペイント軍団に戻った大洗女子が、
感化されて奥義に目覚めたまほ姉さん率いる極彩色の中戦車以下だらけの
混成部隊と激突しないかどうか気になります。
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