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ミリオタってやーねぇ、とよく言われる原因。 [アニメ]

 さる海外の「ガールズ&パンツァー」のフォーラムが荒れています。それまでは友好的な雰囲気でレスが積み重なっていたようですが.........さて、何が起こったのでしょうか?

 原因は、ある一人の書き込み者が7話についての会話で、「みほが指揮を放棄して人命救助に走ったのはおかしい!勝利の為には犠牲があってしかるべきで、指揮官としての判断は完全に間違っていた!」と書き込み、ほぼフォーラム全体からの「いや戦車道だっつってんでしょ、スポーツなんだから人命救助優先の咄嗟の判断はおかしくないでしょ?」というたしなめに全方位バトルをはじめ、マーシャルアーツは殺人技の鍛錬だからスポーツじゃないだの軍事行動だからだのと食い下がったことでした。

 まことに、見事なゲーム脳、デスクトップミリオタ、紙スペック至上軍人ワナビーの典型です。

 わたくしもミリタリー関係を趣味の一つに長らくしている関係で、普段から大変苦々しく思っているところがこういう傾向だったりします。

 軍事を脇から眺めていられるのは、実際の戦争になっていないからです。だから、そこには「戦争のない平和な環境」、が必要不可欠なはずで、むしろ戦争の事を沢山知れば知るほど、戦争が嫌いになってくる部分がある筈なのです。大半のミリタリー趣味の人間もそこはわかっていて、だからこそ軍事を扱った作品を作ろうとする時にも、苦労をして、できるだけ人の死なない、傷つかない方便を探る努力をしている人が多いと思います。

 ですが、人の痛みをわかろうとしない人が現れるんですよね。死人が出たり、傷つく人が描かれることを喜び、それが「リアルだ」、と大声でわめく人達が。

 そういうテーマを扱った作品なら、それもアリでしょう。でも、何にでも通用することではありません。第一、前提として殺人という反社会行為を扱うわけで、それを肯定しては社会道徳と平和な環境が脅かされるからこそ、物語などでも慎重に「そうなってしまう、そうしてしまう理由」を丹念に描く必要があるわけで。そのポイントを外した作品は「駄作」「B級」、という、それはそれで娯楽の一つのジャンルにはなりますが、決して正常な感覚では捉えられにくいニッチな方向に特化したものとなってしまいます。

 そういう「一般的な感覚」を理解できずに、畑違いでも「人死なねぇ!つまんねえ!おかしい!」とわめく人が多いのが、軍事や武器を扱うジャンルのコミュニティの悪い側面です。確かに銃で撃たれれば人は傷つき、死にます。でも、リアルがどうこう言うなら、下手をすればかすっただけで衝撃波による血流の逆流で心臓発作で死んでしまったり、戦場騒音でパニック状態になって狙いをつけるどころではなくなったりするのですよ?それに、当たったら死ぬか大怪我をすることがわかっているものを発射する道具を、相手が自分に向けているだけですさまじい恐怖です。しかも相手と同じ道具を持っている自分が相手を倒すには、同じことが相手が自分にできる距離にまで近寄らなくてはならないのですから。熟練の兵士、英雄だって、それがわかっているから必死に避けて、勝利しているのです。

 そういう「無敵の強兵ならば前進あるのみ!勝利には犠牲がつきものだ!」とか、「キャラが死なないからつまらん!」とかいうことを信じ込んで、空気を読まずに普通にネタだと思っていろいろなところで口走るから、あいつキモチワルイとか楽しい空気台無しじゃん、と思われるわけで。例えば戦いをテーマ・モチーフにしている以上、ドラマツルギーの上で人死にが出たり怪我人が出るのはやむを得ないとしても、誰もがむやみやたらに誰かが死んだり傷ついたりするのを求めたり、喜んだりしているわけがないでしょうに。

 そういう話になると、次の段階で出てくるのが大抵、「敵より遠くから攻撃できて防御も最強な兵器至上主義」になります。これ最強(スペックの上では)、他はクズだ認めない、と鼻息荒く他人の好きなものを攻撃しはじめるのです。そりゃあ机上の空論では最強でしょうが、タイガー戦車だって撃破されてるでしょうに。エースが何台一度に仕留めたことがある、といっても、その逸話が全てに適用できるわけでもなく、目を塞いでいる人には見えない場所で連合軍側もちゃんとドイツ軍戦車を倒していたからこそ戦争に勝っているわけで。対抗策がないわけじゃないんですよ。

 だからこそやりようがある、そこを考えるのが楽しい、という話に、「いや最強装備しかないね!(以下ぐだぐだとスペックの羅列)」と言い出したら、白けることこの上ない。豆知識を披露してくれるだけならいいのですが、そういう輩の口調は常に否定的で、他人を攻撃して来ます。件のフォーラムでも一部の戦車ゲームマニアは、あんな屑戦車いらねえ、全部キングタイガーとスターリン戦車にしろ、とか言ってウザいことウザいこと。当然、会話の輪からは外れています。

 正直、本気で殺し合うつもりじゃないんですから、ミリタリー趣味の好みなんてのは本来普通のどんな趣味とも一緒で、「あ、これ自分はなんとなく好きかも、かっこいいかも」、くらいのところから始まっている筈ですし、対戦車戦闘では使えないカーロ・ベローチェ装甲軌道車でも、ポーランドの戦車でも好きならそれでいいのです。ガールズ&パンツァーの話でやたらに槍玉に挙げられる八九式戦車だって、動いてるところが見られるだけでも楽しいじゃないですか。企画側だって、どう見たって珍しい車両ばっかり描こうとしてくれていて、絵にされることすら稀な戦車がごろごろ見られるなんて面白いですし。それに、大前提を忘れちゃいけません。最強じゃない貧乏高校の寄せ集めが、知恵と勇気で熱い戦いを繰り広げたり、それをスポーツとして打ち込む日常とガールズのキャッキャウフフが見事にブレンドされた物語なんですよ、これは。いちいち最強戦車がどうこう言う方が、野暮ってもんでしょう。

 そういう、空気を読めない殺人行為ハァハァのマニアが多くて、他にも趣味がある人が一旦接する事があっても次々と離れてしまい、悪貨が良貨を駆逐して、悪い空気が日常化して当たり前だと勘違いされているのがミリタリー趣味のコミュニティの悪循環なのだと思います。だから、裾野が広がらないし、「外の世界」に顔を出すと鬱陶しがられるのですよ。

 もう、めんどくさいったらありゃしない。娯楽なんだから楽しく。一般常識は忘れず。一人っきりじゃない時は空気を読む!普通に楽しめばいいのに。

 ガールズ&パンツァーがきっかけでミリタリー関係に興味を持った人が、またぞろ嫌気がさしてざあっと引き潮のように去り、ミリタリー趣味がまたまた以前よりもひどいさらなる日陰にころげ墜ちてしまわないかどうか、気になります。
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